宅卦の計算法

 人もそれぞれ違うように、住まいの性向も一軒一軒異なります。
同じような建売住宅であってでさえ、もちろん住所が違うし、周囲の環境だって違います。
そのような住まいの風水上の性向の違いを八卦で表します。これを宅卦といいます。
 宅卦にもさまざまな見方があります。もっともベーシックなものを取り上げてお話しすることにします。
 これがすべてではありません。
しかし入門編としてもただ詳細を省き簡単にということではなく、「基本的な考え」からの導きを心がけました。
皆さんの風水を楽しむ一助になれば幸いです。

T かんたんな宅卦

 まずはベーシックなものとして八卦だけを用いたもの、そして次に九宮を用いたものを取り上げます。

1 八卦を用いる見方
 八卦のみを用いて宅卦を出します。
吉凶は人の命卦とほぼ同じになり、わかりやすい方法です。
簡単ですから、吉凶のおおよその見当をつけるのに適しています。

@ 入り口から判断します。
 家の中心(これを太極といいます)から見て、入り口の方位がどこかで判断します。
ポイントは「宅卦は入り口とは反対の方位になる」ということです(これを座といいます)。

 八卦にはそれぞれ定位置の方位があります。
たとえば「坎(かん)」は「北」で、「離(り)」は「南」というのがそれです。
話を進めるで、これはどうしても押さえておかないと理解できなくなります。
ご存知の方も多いと思いますが、ここで各方位の八卦の位置をおさらいしてみましょう。

下記が八卦の基本図です。

西北 東北
乾(けん) 坎(かん) 艮(ごん)
西 兌(だ) 震(しん)
坤(こん) 離(り) 巽(そん)
西南 東南

<例題>「北」に入り口がある場合、宅卦は何になるのでしょうか?

 基本図をみてください。北は・・・「坎」ですね。基本図から北を示す八卦は「坎」だとわかります。
そして入り口が、つまり家の正面が北を向いている住まい。
よし。宅卦は「坎」だな。

 と。ついつい感覚的にしたくなってしまうのが人情ですが、ちょっと待ってください。
この場合は、入り口とは反対の南に奥まった本拠があるということで、南の「離卦」になります。
入り口の反対側の奥に「座」する、といもいいます。
 入り口と宅卦の関係は下記のようになります。

入り口 東北 東南 西南 西 西北
宅卦 離卦 坤卦 兌卦 乾卦 坎卦 艮卦 震卦 巽卦

そして宅卦の家を指して「〜宅」ともいいます。たとえば離卦の家なら「離宅」です。

A 宅卦の吉凶
 この宅卦を用いた吉凶は、ほぼ命卦のものと同じです。

宅卦 東北 東南 西南 西 西北
坎(かん) 東命 伏位 五鬼 天医 生気 延年 絶命 禍害 六殺
離(り) 東命 延年 禍害 生気 天医 伏位 六殺 五鬼 絶命
震(しん) 東命 天医 六殺 伏位 延年 生気 禍害 絶命 五鬼
巽(そん) 東命 生気 絶命 延年 伏位 天医 五鬼 六殺 禍害
乾(けん) 西命 六殺 天医 五鬼 禍害 絶命 延年 生気 伏位
兌(だ) 西命 禍害 延年 絶命 六殺 五鬼 天医 伏位 生気
艮(ごん) 西命 五鬼 伏位 六殺 絶命 禍害 生気 延年 天医
坤(こん) 西命 絶命 生気 禍害 五鬼 六殺 伏位 天医 延年


※吉凶判断。
 風水の基礎的な考えには「易」があります。この吉凶判断は易からきているものです。
八卦は縦に三本横線(この横線を「爻(こう)」といいます)を積み重ねたシンボルです。
横に一本なのが「陽爻」、真ん中に割れ目があって横に短く2本並んだのが「陰爻」といいます。
それぞれ陽爻は「陽」を、陰爻は「陰」を表し、その組み合わせによって八卦が決定します。
八卦は下から上に向かって積み上げるように数えます。

<例題>入り口が東南にある家の西の方位の吉凶は何でしょうか?

 入り口が東南です。と、いうことは宅卦は入り口の反対側ですから西北ということになりますね。
西北の八卦が宅卦ということになりそうです。基本図を見ると西北は「乾」になってます。
入り口が東南に向いているものは乾卦の家、つまり「乾宅」だとわかります。
吉凶判断は易卦構造の比較で行います。比較対象のの卦もわからないとできません。
西の吉凶を調べたいのですから、対象は西の定位置の八卦だということになります。
 西の定位置の八卦はなんだったかというと・・・
基本図を見ると「兌」になってますよね。西の定位置の八卦は「兌卦」とわかります。
そこで、この2つの八卦、「乾」と「兌」の構造を比較します。

3 陽爻
2 陽爻 →「乾」
1 陽爻

3 陰爻
2 陽爻 →「兌」
1 陽爻

 見れば一目瞭然。下の2つは陽爻で、一番上の3番目の爻が乾は陽爻、兌は陰爻になっているとわかります。
「違いは一番上の3番目の爻だけ」だとわかりました。
 このように、一番上が「変化」しているケースを「上爻変」あるいは「3爻変」といいます。
1番目、2番目の爻までがガッチリ同じで土台がしっかりしていて、一番上だけの陰陽だけが変換する。
この形は安定的にエネルギー交換が順調に行われるので、もっとも好ましい形だとされます。
 この状態を「生気」といい、最高の吉です。
上の表で宅卦が「乾卦」のところをみて、西のところをみてください。「生気」になってますね。

 このようにして、それぞれの八卦を組み立てる爻の違いのパターンによって吉凶が決まります。
上記表にまとめてますから、いちいち計算しなくていいですけど仕組みがわかると理解しやすいですから
次にパターンをまとめておきます。

八卦組み合わせパターン

3爻変 生気 一番上の爻だけが異なる
12爻変 天医 下から1番目と2番目の2つの爻が異なる
全爻変 延年 3つすべての爻が異なる
全同爻 伏位 3つすべての爻が同じ
1爻変 × 禍害 1番目の爻だけが異なる
13爻変 × 六殺 1番目と3番目の2つの爻が異なる
23爻変 × 五鬼 2番目と3番目の2つの爻が異なる
2爻変 ×× 絶命 2番目の爻だけが異なる

 簡単にいうと、一番上の3爻だけが違うのが一番良い。真ん中の2爻だけが違うのは一番悪い。
全部同じ、もしくは全部違うのはほどほどに良い。それ以外はだいたい悪いって感じですね。

※さらに詳しく易を知りたい→椎名の易経ガイドをご覧ください。

2 九宮を用いる見方
 九宮とは、一白、二黒など、よく九星と呼ばれているものです。
この九宮のめぐりをあわせて宅卦の吉凶をみることもできます。

 ここでも八卦と同じく九宮の方位配置をおさらいしてみましょう。
これが九宮の基本図です。
(表の色は名前の色ではなく、五行の性質を示します)

西北 東北
六白金 一白水 八白土
西 七赤金 五黄土 三碧木
二黒土 九紫火 四緑木
西南 東南

<例題>入り口が北にある家の九宮は何でしょうか?

 宅卦の場合と同じように「入り口」で判断します。見方もほぼ同じです。ですから、まず宅卦を求めます。
 たとえば北に入り口がある家は、反対に座するということで宅卦は南の「離卦」で「離宅」でしたね。
このとき上記基本図の南を見てください。南の九宮は「九紫火」となってます。
ですので、北に入り口のある家は宅卦は離宅となり、九宮は九紫火星だとわかります。


 九宮での吉凶一覧表

入り口 宅卦 九宮 東北 東南 西南 西 西北
離宅 九紫火 洩気 生気 死気 洩気 生気 死気 洩気 殺気
東北 坤宅 二黒土 洩気 旺気 生気 死気 洩気 旺気 殺気 殺気
兌宅 七赤金 死気 洩気 生気 旺気 生気 死気 殺気 生気
東南 乾宅 六白金 生気 殺気 死気 生気 洩気 死気 生気 旺気
坎宅 一白水 生気 洩気 殺気 死気 殺気 生気 洩気 殺気
西南 艮宅 八白土 殺気 旺気 洩気 洩気 殺気 旺気 死気 生気
西 震宅 三碧木 死気 殺気 生気 死気 殺気 洩気 死気 旺気
西北 巽宅 四緑木 洩気 殺気 死気 旺気 死気 生気 殺気 死気

※吉凶判断
 この場合の吉凶は八卦でのパターンとは異なります。
それぞれ九宮のところに「土」とか「水」とかありますね。そう、ここでは五行の組み合わせで考えます。
いわゆる五行関係です。

@プラスの流れの関係(相生関係)
木→火→土→金→水→木→・・・(A→B AからBに対してプラスエネルギーが供給される関係)
Aマイナスの流れの関係(相剋関係)
木→土→水→火→金→木→・・・(A→B AからBに対してマイナスエネルギーが供給させる関係)
                          この場合、BはAに喧嘩して負ける間柄の関係とも

 九宮の五行関係のパターン
宅卦の九宮と各方位の九宮との関係でみます。

宅卦と方位の九宮が同じ性質(比和) 旺気 旺盛な気の巡る方位。
方位の九宮が、宅卦の九宮を生じる 生気 活力充足の方位
宅卦の九宮が、方位の九宮を生じる 洩気 現状維持の方位
宅卦の九宮が、方位の九宮を剋する 死気 心身奪気の方位
方位の九宮が、宅卦の九宮を剋する 殺気 × 気の殺がれる方位

<例題>入り口が東の家の南の吉凶はなんですか?

 まず宅卦を求めます。入り口が東ですから、座は反対の西ですね。ですから宅卦は西の兌卦になります。
次に基本図で、西の九宮をみてください。西の九宮は「七赤金星」だとわかります。五行は「金」です。

 ここで注意しないといけないのは「方位の九宮」です。基本図の方位のままではありません。
一から九の数字が頭についてますが、この順番で順繰りに移動します。(これを飛宮といいます)
ここがちょっとわかりにくいですね。宅卦の九宮は「七赤金星」とわかりましたから「七赤金」が中央にくるように動かしてみると、このようになります。

西北 東北
八白土 三碧木 一白水
西 九紫火 七赤金 五黄土
四緑木 二黒土 六白金
西南 東南

 と、いうことは、このときの南の九宮は「二黒土星」で五行は「土」だとわかりますね。
宅卦の五行は「金」で、方位の五行は「土」。この関係はどうだったでしょうか?
 @プラスの流れの関係(相生関係)で「土→金」となってます。土から金にプラスエネルギーが供給される関係です。「方位の九宮から、宅卦の九宮にプラスエネルギーが供給される関係」です。
 それはつまり「方位の九宮が、宅卦の九宮を生じる」関係で、上のパターン表から「生気」だとわかります。
 さらに確認のため、「九宮での吉凶一覧表」をみてください。
入り口が東のところ、南はどうかって見ると・・・「生気」となってますよね。

このように、九宮の五行関係から宅卦の方位吉凶判断を行うのです。

※九宮の移動
これを飛宮といいます。そして九宮は「星」がついてますから、あわせて「飛星」ともいい、これをメインに判断する一派を「飛星派」ともいいます。また、先の八卦のみをメインにする一派は「八宅派」とも呼ばれます。
 また他にも見方の違いによって、巒法派、覓龍派、理気派、心意派、玄空派、時空派などの一派があります。唐、宋の時代にほぼ思想の完成をみて以来、ながく伝承発展される過程で、その時々の老師などが新たな解釈を加えたり改良したりした結果、流派の違いが生じ、細かな部分で異なるようになりました。
 枝葉の違いに執着せずにわからなくなってきたら、基本に戻りましょう。これが理解のポイントです。

3 そのほかの見方
 さまざまな周囲環境や住環境などから判断したり、さらに詳細な方位区分によって判断します。
と、いいますか・・ここから先はプロの領域になりますから、よほど厳密に知りたいということでもなければ
必要ありません。
 さらに詳しく知りたいという方のために、別章にてお話いたします。